2010年9月23日木曜日

君主論

君主論

君主論が描くのはフランスに見られるような安定した王政の姿ではなく、運命の変転おなかで果敢に権力を打ちたて、その維持をはかる新しい君主のあり方。

新しい君主が誕生し、生息する政治空間はこれと非常に違ったものである。法や制度が効力を失い、それらの共有による社会的安定性が失われているという意味で危機は極めて深刻な症状を呈している。新しい君主は法や制度を創出し、定着させる必要があり、それらを前提にした統治などは論外だ。

世襲君主政の典型は、16世紀のフランス王国(ルイ家)

領土を獲得し、維持していくためには、旧い君主の血統を絶やし、法や税制を変えないことである。

植民:費用がかからず、支配者に対して忠実、傷つけることも少ない
軍隊:費用がかかり、多くの人を傷つける。

病の初期にそれを治すのは容易であるが、それを見つけ出すのは難しく、他方祖俺を初期の内に発見せず処方を怠る場合、時の経過とともに発見は容易となるが治療は難しくなる。統治の問題も同じである。

他人に勢力を得させる原因を作るものは自ら滅びる。なぜならばこのようなちからはこの者の策略か実力によって生ずるが、強力になったものにとっては、これら双方は疑念を巻き起こす。

どのような政策がとられようとも、sの都市の住民が分割され散り散りにならない限り、その名前や制度は忘れられることなく、なにか返事があれば直ちに以前の統治様式に帰ることになる

懸命な人間は偉大な人間の辿った道を常に歩み、卓越な人間を模倣すべきであり、仮に自らの能力がそれに及ばないとしても、その場合彼らの芳香にあずかることができる。

自らの実力によって君主となったものは、権力の獲得に当たっては困難に遭遇するが、それを維持するのは容易である。

本来教会領に属する地域を確実に領有できるためには、このような既存の秩序を混乱に落としいれ、支配権を解体する必要があった。

民衆に愛されるとともに恐れられるようにすること、兵士に慕われるとともに畏敬されること、新しい制度によって旧制度を改めること、峻厳であるとともに親切であること、度量が大きく気前がいいこと。

ある領を得る場合、占領者は行う必要のあるすべての加害行為を検討し、それを毎日繰り返す必要がないよう一基に断行すべきであること、そしてそれを繰り返さないことによって人々を安心させ、人々に恩恵を施して人身を得るうことができるようにすべきである。

昇進で生来勇気を欠く者の場合、思慮を持つものについては最大限活用すべし。
故意に野心を持つものについては警戒すべきだ。

人間は死ぬ危険がほとんどない場合にははせ参じ、支持を約束し、君主のために死ぬ覚悟があると述べるが、君主が市民達を必要とする(戦争)時節が到来すると少数の人間しか彼のもとに集まらない。

人間というものは、うけた恩恵に対しても自ら与えた恩恵に対しても義務観を持つものである。効したこと全体を考えるならば、包囲されている市民達の指揮を終始保持することは困難でないはずだ。

君主は自ら軍隊に赴き、その指揮官の役を担うべきであり、共和国はその市民達を派遣しなければならない。

傭兵に関して最も危険なのは彼らが無気力であること。将軍に関して最も危険なのは彼ら(傭兵)が有能であることだ。

自分の国をよく知るよう努力することによって、それをよりよく防衛することを学ぶことができる。土地の観察と体験によって他の土地のことを考える必要が起こったときに、容易に理解することができるようになる。
この知識こそ、敵を発見し、宿営地を選び、軍隊を導き、体制を組織することを可能にする。



アカイアの君主、フィロポイメン:道すがら戦闘に際して起こりうるあらゆる場合を提起し、見解に耳を傾け、自説を述べ、理由を挙げて確認した。

当代において大事業をなした人々は例外なしにケチと言う評判のあった人々であり、その他の者は滅亡した。

君主は自己および自己の臣民のものではない財貨に関しては、キュロスやカエサル、アレクサンドロスがおこなったように非常に気前よく配分するべきだ。他人の財貨の蕩尽は名声を高める。しかし、自己の財貨を蕩尽してはいけない。

人間は恩知らずで気が変わりやすく、偽善的で自らを偽り、臆病で貧欲である。

人間は自らの意に従って愛し、君主の意に従って恐れる。賢明な君主は自らの自由になるものに依拠すべきであって、他人の判断良い依存してはならない。その際に、憎悪を招かないようにすれば良い。

大切なのは、資質を有することではなく、それらを持っているように見えることである。君主がこれらの資質を備え、それに従って行動するのは有害であるが、それを備えているように見えるのは有益である。
慈悲深く、信義に厚く、人間性に富、心身深く見え、実際にそうであるのは有益である。

君主は風のままに、運命の変化を命ずるところに従って自らの行動を変更する心構えを持つ必要がある。可能な限り好ましい行為から離反せず、しかし必要な場合には悪事に踏みこむことができる心構えを持つ必要がある。

優柔不断な君主は、現前の危険を回避しようとして多くの場合、中立政策をとり、大空の場合滅亡する。

君主の近辺にいる人間を見るのがよい。もし彼らが有能かつ忠実であれば、この君主は有能な人材を見出し、それを忠実たらしめる術を知っている。

人間の頭脳には3種類ある。一つ目が自らの力で理解するもの。二つ目が他人の意図するところを察知するもの。3つ目が自分の力で理解しようとせず、また他人の意図を理解しないものだ。


時勢に自らの行動様式を順応させる君主は栄え、同じ理由から時勢に適応しない行動をとるものは不幸に陥ると思われる。

運命は変転する。運命は女神であり、それを支配しておこうとするならば打ちのめしたり突いたりする必要がある。運命の女神は冷静に事を運ぶ人よりも果敢な人によく従うようである。それゆえ、運命は女性とおなじく若者の友である。若者は慎重さに欠け、より乱暴であり、より大胆にそれを支配するからだ。


0 件のコメント:

コメントを投稿