2010年9月29日水曜日

サービスブランディング

サービスブランディング

韓国や中国の企業も、今や低コストを武器に、急速に品質を向上させてきている。
欧州企業は生産現場における細かい技術論よりも、デザインなど顧客の目に見える部分での差別化された表現力を強みとして付加価値の獲得を図っている。

日本のサービス業は、時間の正確さや顧客への丁寧な気持ち、細かいもてなしなど、世界最高レベルのものがある。標準化を推し進めることで、日本的なサービスの持つ強みを失ってしまうのはもったいない。

ブランドの価値:損得や利便性といった機能的評価だけでなく、好きになれるか、ピンとくるか、自分にあっているかなど様々な心理的要素や感情的要素も重要となる。

購入前の期待と購入後のギャップがあまりに大きい場合は、満足度は大きく引き下げられる。反対に出来ないことを明確化することで、顧客に下手な不満を抱かないでもらうことも重要。

ブランドも顧客を選ぶ:どういう顧客が利用しているかが、そのサービスブランドの品質を決める場合もある。

ターゲットを明確に絞ること。全ての顧客の満足を満たそうとして邁進しても成果は上がりにくい。

ブランドの真実の瞬間をマネジメントする上で重要なのは、購買前、購買時点、購買後において、どの接点が顧客に重視されるのか、顧客接点ごとにブランド価値のどの要素を強調していくのかという点。

無形性:差別化の難しさ 変動性:品質管理の難しさ 複合性:見極めの難しさ 継続性:応え続けていく難しさ

ブランディング:誰に対して何をどのように提供するのかという提供価値の約束を、送り出す側の従業員と受けて側の顧客の双方が、きちんと納得・理解して「良質な体験」をつくりだす共同作業を指す。

事業領域⇔人材用件⇔提供過程 ブランドの約束に求心力を生み出すトライアングル。

サービス商品⇔価格⇔人⇔販売促進⇔物的環境⇔流通 遠心力を生み出すヘキサゴン

プロモーション:ウェブ2.0時代になって、利用者の発信力は爆発的に向上した。企業側としては、それを傍観するのではなく、常にモニタリングし、自社の戦略を考えていくべきである。

店舗×契約型市場:契約に向かう心理的な壁を越えさせることが重要となる。
無店舗×非契約型市場:コアサービスにどのようなサブサービスを孵化して差別化するかが重要となる。
無店舗×契約型市場:顧客に信頼されうる人材の資格・技能レベルが重要となる。

これまでの事業スタイルの成功体験に固執することなく、顧客のレンズを通して常に見直し・改善しながら、時に市場ドメインを拡張するような判断が求められる。

店舗×非契約型サービス
・サービスを利用するために必ず店舗まで足を運ぶ必要がある。
・店舗を訪れることにより、五感全てでブランドを体験する。
・顧客と契約を結ばないため、顧客の浮気を容易に生じさせる。
・一回のサービス利用が終わるたびに、自社との縁が切れるリスクがある。

ブランドの約束・理念と結びついた体験が、消費者の頭の中でしっかりと輪郭を持って蓄積され、他のブランドよりも早く、より強く想起されることを助ける。

現場の体験:実際にどのようにして商品(サービス)が提供されているかを経験することで、自分がなすべき事を現場の経験に照らし合わせて考えることが出来るようになる。

安さで顧客を得られる商品と信頼で顧客を得られる商品がある。前者は価格競争に陥り、継続して顧客関係を築きにくい。

スタッフの主人公化:自身の存在意義が感じられる場所でこそ、人は前向きに働ける。

店舗=作用点 ブランド=支点 企業=力点
力点で企業がそそぎ込んだ力を、作用点での顧客の満足に正確に変換するためには、支点の安定性が必須になる。ブランドに一貫性が無い=支点が不安定であるようならば、作用点で生じる力=体験が四方に発散しかねない。

店舗×契約型サービス
新規顧客は店舗空間・デザイン・スタッフの様子・顧客層など、サービスを取り巻くあらゆる接点からその内実を嗅ぎ取ろうとする。

基本的に、結果が出るまで期間を要するサービスが多いため、二の足を踏む人が多い。お試しコースなどの「クイク・ヒット」的な領域を見つける必要がある。

語学スクールでは、出席動向・習熟度をみて、適時に新しいクラスの設定や顧客対応を図ることにより、生徒を飽きさせない配慮をしている。

ストーリ性をうまく使い、心理的に継続したくなるような仕掛けも必要。

河合塾:従来の大学進学支援に加え、高校や大学への講師派遣による教育支援も始めている。「一人ひとり」にこだわり、生徒の息遣いや眼差しがわかる対面授業を守り続けようとしている。
収益の大半は世の中的には究めてニッチな層である。その特殊なニーズ・心理状況に業者が深く肩入れするほど、その他一般の層に取り組むことが難しくなる。マネジメントの重要性。

ティップネス:気軽に楽しくがコンセプト。汗臭くない、がんばり過ぎないイメージを演出しながらボリューム層を獲得していった。
体験型商品「Dr. Fitness」顧客の置かれた状況に応じて最も適切なプログラムを推奨するもので、これにより顧客は体験入会時に究めて納得性の高いサービスを受けることが出来る。

顧客サイドと店舗サイドの要求事項を上手く管理しなければならない。
信頼→接客対応 納得→理解促進 親密→個的ケア といった具合。

印鑑を押す、署名を行う作業が伴う時、たいていは一抹の躊躇にかられたりする。契約とは簡単な行為ではないからこそ、信頼を基盤に据えて、理解を深め、親密さを感じるに至るステップを構築することが重要となる。

目標の明確化→成果の是非→目標達成後の判断→習慣化…場への所属→成果の要求→顧客



いったんそのサービスの顧客になった以上、ハード要素にはそこまでこだわらなくなる。その反面、十分なサービスの幅や新たなサービス提案などが担保され無い場合や、馴染みのスタッフや友人がいなくなると途端に顧客離れが進む。

無店舗×非契約型サービス
中核となるコアサービスを明確に定める一方で、効果的にサブサービスを組み合わせることで他者がまねできない優位性を実現することが必要となる。
サービス開始当初から、将来的な事業展開の方向性、すなわち複合性の持たせ方や方法論を織り込んでいくことが望ましい。

誰にでもその中身がイメージしやすい「テーマ」自体が、顧客の潜在ニーズを掻き立てる「言葉」の役割を果たしている。

商品ごとに顧客満足度や要望をつぶさに把握するための仕組みと、要望をすぐに商品に反映できる体制を持つことができれば、趣味・嗜好に基づいた「テーマ」という括りにより、効果的な商品改善サイクルを構築することが可能となる。

エコースタッフ:情報誌の配送業務などを通じて、他の会員の声に会員と同じ目線で直接耳を傾け、その意見や要望を本部に伝える役割を担っている。

新しい団塊の人たち:音楽や演劇・映画などのエンターティメントに加えて、「学び」にも大きな興味を持っている。 座学で知識を習得し、その場に足を運んで実感する。

一休.com:一流のホテル・旅館に特化したサービス提供
大衆的なものはマーケットが大きく、魅力的ではあるが参入しても勝てない可能性が高い。
森社長:「一人で会社を興して半年たつ中で、常に『取引先はどこか』と聞かれた。そこで、名も無いベンチャー企業、零細企業にはすごい取引先はついていないと気付いた。逆に世の中のブランド企業とくっつけば、効率よく強いブランドが構築できるのではないかと思うようになった。」一休とは相手先ブランド利用型ビジネスである。

一部屋の空きに対し、10のプランを提供する(朝食の有無、夜食の有無、連泊割引の有無など。これだけで8通りの可能性をうみだせる。)

重要なことは、潜在ニーズを最初の段階から掘り起こすための効果的な商品セグメンテーションを行うこと。
顧客にとっての「入り口」の複合化を高度に実現する方法論の構築。(アマゾンのreview)
プレーヤーの複合化:サービスを生み出す基点を、顧客以外の仕入先や代理店などの他のプレーヤーに拡張し、サービス向上の「幅と深みの可能性」を広げていく。

無店舗×契約型サービス
参入障壁が低く、多数乱戦状態になりやすいのが特徴。初期投資が少ないことに加え、一定の顧客基盤を持つ企業にとっては利用者数の想定ができるためリスクも低い。

成功したサービスブランド:創業者からの生い立ち、立ち上げの苦労話、事業に対する熱い思いなどが、伝説のように語り継がれている。このような、創業者の熱い思い、経営理念の存在が、無店舗×契約型でサービスにおいて、顧客の共感を獲得し、自分のライフスタイルにふさわしいブランドとして選んでもらうための重要な指標となる

普及度とプレミアムイメージは反比例の関係になりやすい。急激な売上の増加を追わないのも戦略のひとつ。

一対一かつ無店舗であるがゆえ、提供側のサービスがエスカレートしてしまい、顧客と企業の関係を逸脱してしまうこともある。

非店舗型で初期投資を抑えやすく、利用者を見込みやすい契約型だからこそ、新規事業を素早く立ち上げた上で、少しずつ手直しをしながら育成する手法も可能。

過剰品質になる危険性:顧客の厳しい要求にこたえればこたえるほど、顧客の期待値が上がってしまうため、満足水準を維持するために、ますます付加価値の高いサービスを提供しなければならなくなってしまう。これについては、短期的には企業として顧客に約束できる範囲を明確に伝えながら、長期的には、「将来のサービスヴィジョン」と「マイルストーン(強化計画)」を企業と顧客が共有していくことで、顧客と共にサービス内容を進化させていくことが可能となる。

オイシックス:顧客の大半は都会に住む働く女性。有職者が3/4を占める。
からだに良い食品を中核にしながら、「食卓に笑顔を」という理想のもと、利用者にとって何が便利で、オイシックスはそれに対してどう役立てることができているかという視点から、取り扱う商品カテゴリーを有機的に拡大している。
日常的に購入する商品を「MYセット」として登録しておき、普段必要な食品を自動的に注文しておくことが可能なサービスも提供(富裕層向け)
新規の商品を投入する際には、かならず「おいしっくすっぽい」ストーリーをそこに含蓄させる。
利用するタイミングが訪れるまでに、様々な方法で顧客開拓の地盤を築いておくことも大切。(塾ならば、小中高の一貫体制。)

自らカテゴリーをつくり、ナンバーワンであり続けることが、顧客の維持及び開拓の両面で武器となる。同じ事業を展開している企業は無い。これが理想。

業績管理の先行指標の視点を「企業のレンズ」から「顧客のレンズ」に切り替えることは、部門間の垣根を低くし、共通言語をもたらす結果となり、ブランドの約束を実践するために必要な機能横断的活動がずっとやりやすくなる。

日本企業の3類型
相撲型:日本伝統の年功序列で、親方の言うことは絶対の組織。
野球型:選手一人ひとりの役割が決まっており、監督のマネジメントで動く組織(バントや盗塁、敬遠の支持などを下せる)
サッカー型:チームプレイであるが、ベースは個人能力。監督の介入は少ない組織(フォーメーションの設定はするが、基本的には選手の自己判断に委ねている)

サービス従業者の満足感とブランドへのロイヤリティが原因変数となって、従業員定着率と顧客満足を高め、結果として高収益性を導いていく。連鎖モデル

現状とあるべき姿のギャップを把握し、最適な道筋を描くこと。
GEのワークアウト:マネージャも参加して、改善策を決定していく。

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