2010年9月29日水曜日

FREE

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執筆に辺り、著者は19世紀終わりのアメリカの大衆医薬品メーカーから、中国の海賊品市場まで調査。贈与における心理、ムダをめぐる倫理観の変化を探った。
ちなみに、スタバにてイヤホンを耳に入れながらネットブックを使い、グーグルドキュメントにて執筆した。

ジェロ(ゼリー)を売るにあたり、無料でジェロのレシピを配った。これが大ヒット。
あるモノをタダで上げることで別のものの需要を生み出した。

レディオヘッド:自分達の音楽を無料提供。こうすることで、より多くの人に音楽を届けられ、ファンを獲得することができる。そして、ファンの一部がコンサートに足を運び、収益が上がる。

金融商品から携帯電話のお徳プランまで、どんなモノやサービスでも、えてして価格は原価ではなく心理学を基に決められる。

無料の基本版のユーザーが19人いる。しかし、一人の正規版のユーザーがいれば、19人の無料ユーザーがいてもコストを回収することができる。

ミュージシャンの多くは不正コピーを受け入れてきた。そこには、創造性を発揮できるから・より多くの人に自分達の曲を聴いてもらうことができるからという、利益を抜きにした純粋な動機がある。

キャッシュバック:それは、もともと製品に組み込まれているのかもしれないが、我われは一時金を受け取ったかのごとく、キャッシュバックされた資金を特段必要と感じていないモノに使う傾向がある。

賢い会社は通常のお金の流れを逆にする。モノやサービスを無料にしたり、他の会社が料金を取るものに料金を支払ったりする。起業家が価格について創造的に考えたことで生まれたものである。

家族や近所付き合い、職場でさえも、モノやサービスをやり取りする時には、いまだに寛容・信頼・善意が通貨の役割を果たしている。友人の間には貨幣は必要ない。


クロポトキン:「人に何かを上げることは、お金のためではなく自己満足のためだ。」
贈与経済は市場経済よりも人間の自然状態に近い。

既存のビジネスモデルの経済的意味を消滅させること。つまり、タダにしてしまうこと。
表面はタダだが、違うところで上手く収益が出るようなモデルをもってくる。

イノベーションは既存の製品・サービスが希少価値のために高騰せざるを得ない状況にあって生み出されることが多い。
ここで、資源を例に見ると、過去においてスズの需要が逼迫した時代があったが、それにかわる代替物が現れたためスズの価格は減少することになった。

水が常に低いところへ流れるように、経済も潤沢なほうへ流れた。あらゆる製品は普及により価格が下がり、企業は儲けを求めて新しい希少性を探した。潤沢にあるモノのコストが底値まで下がるとき、その商品に隣接した別のモノの価値を押し上げることがある。

最初に値がついていたものを無料にすると、我われは質が下がったと感じるだろうが、最初から無料のものは質など代わらないと感じる。

お金を数セントでも払う商品に対しては、広告主は無料の商品の5倍もの広告料金を払ってもいいと思っている。それだけ、有料雑誌にも魅力はあるということ。(たしかに無料雑誌の広告に目は留まりにくい。)

価格がゼロにおける需要は、閣下苦が非常に低い時の需要の数倍になる。ゼロになったとたん、需要は非曲線的な伸びを示す。

若い頃は、お金は無いが時間はたっぷりあるのでため、時間がかかっても無料でDL使用とする。大人になると、お金はあるが時間が無いので手っ取り早い有料DLを選ぶ。

車がタダになるビジネス
電気自動車のバッテリーを無料でリースする。走行距離に応じて、ガソリン価格の80%程度の値段を請求する。電気料金がガソリンの10%ならば(実際それぐらい)、ガソリン価格の70%が利益となる。リッター10kmとし、年間1km走行するとして、1000リッター。ガソリンの価格がリッター100円とすると、年間7万円の利益を得ることができる。

アイデアとは究極の潤沢な商品であり、伝達のための限界費用はゼロである。アイデアが生まれると自ら広く遠くへ伝わることを望み、触れたもの全てを潤沢にする。
コモディティ化(誰もが得られるレベル)した情報は無料になりたがる。カスタマイズされた情報は優良になりたがる。

医療ソフトウェアの無料化
ソフトではなくデータを売る。一人の患者のデータは複数の機関に売ることが可能。患者一人のデータが500ドルで200人に売れれば、10万ドルの利益を得ることができる。

昨今のベンチャーは、フリーを利用し、自分のアイデアが上手くいくかどうかを確かめ、徐々に資本を増やし、大きな機関に買ってもらう戦略をとる。

グーグルの電話番号案内無料サービス:利用者が電話番号を問い合わせるたびに、グーグルは音声データを蓄積していく。このデータを基に、音声認識のアルゴリズムを解析・構築し次の事業につなげていく。

グーグルニュースに関する初期の調査から、それを利用する人はそのあとで検索を利用したときに、検索連動型広告をクリックする割合が、平均の2倍あるとわかった。
下手にバナーで広告を流すよりも、サイトの名前だけのほうがクリック数は上がるだろう。

講演会をオンラインでタダで配信してもチケットが高く売れる理由
TEDカンファレンスなどの敷居の高い講演会は招待性であったりするため、一般人ではチケットをなかなか手に入れられない。プレミア効果。また、ネット配信では得られない、出席者との生の接触・会話を体験できるのも魅力である。

ウィキペディア
最近は馬鹿に出来ないほどの内容を含蓄する。直接収入を度外視したことにより、集合知という計り知れない価値を大きく増やした。

グーグルの広告:従来の広告は、その商品に関心がありそうな10%の師調査に届けるものであったが、グーグルの広告はソフトウェアを使うことで、商品に関心がありそうな90%の視聴者に届けられる。前者では90%がイライラするのに対し、後者では10%しかイライラしない。

これからの音楽ビジネスはライブへと流れ込む。ライブでしか味わえない感動を上手く消費者に売り込んでいく。


教科書がタダになる仕組み
160ドルの教科書を売ると105ドルの純益になる。しかし、1クラス100人としてそのうちの75%(75)が教科書を購入し、翌年には中古の教科書があふれるため50冊に売上が落ちる。さらに翌年には15冊に売上が落ちる。ここで、無料版を普及させるとどうなるか。無料版に加えて、章ごとに区切ったも版用意し、より気軽に購入できるような戦略をとる。

ビジネス書の無料化
限界費用の低い(2ドル程度)デジタル書籍は、限界費用の高い講演やコンサル業務のためのマーケティングになる。消費者は全般的なアイデアを無料で得られる。しかし、特定の会社や業界向けの会議にカスタマイズされたアイデアを知りたい場合は、著者の稀少な時間に対し料金を払う必要がある。

タダの自転車貸し
パリでは登録料(11ユーロ、年間29ユーロ)を払えば、有効期間内に何回でも30分以内無料で自転車が利用できる。一方、ブリュッセルでは、年間10ユーロで会員になれたが、使用ごとに0.5ユーロ支払わなければならない。この0.5ユーロのため、多くの人は自転車を利用せず、プロジェクトは失敗に終わった。また、パリでは2万台もの自転車を用意した点も効をなしたと考えられよう。
人々は固定料金を支払えばあとは無料になるほうを好む。

ひとたび基本的な知識や娯楽への欲求が満たされると、私達は自分の求めている知識や娯楽についてより正確に把握できるようになり、その過程で自分自身のことや自分を動かしているものについてもっと学ぶことになる。それが最後に私達の多くを、受身の消費から、創作に対する精神的報酬を求める能動的な作り手へと変えていく。

よいものを推薦すれば、読者の信頼を得られるし、推薦されたほうも信頼される。信頼がトラフィックを生み出す。

大学の授業がタダ
授業ではなく、教授に質問をし、アイデアを共有し、指導を受ける権利が大学に所属することの意義。学生のネットワークの構築、助け合いを築くこともまた大学でしかえられないものである。

数百万点の中古品をタダで提供
いらなくなったソファーなどを回収するサービス。改修した品物を無料で第3者に提供する。ビジネスにするとしたら、送料の内に手数料を加算すればよい。
私達が報酬無しでも喜んですることは、給料のための仕事以上に私達を幸せにしてくれる。創造的かつ評価される方法で貢献する機会は、マズローがすべての願望の中で最上位に置いた自己実現に他ならない。何かに貢献し、影響力を持ち、何かの達人であると認められたとき、幸せを感じる。

タンポポの視点から見れば、ここの種子の損失は重要ではない。タンポポは唯一つの貴重な自分のコピーを世話して、それがやがて自分のもとを離れ、生育に最適な環境へと到達し、そこで家系を永続させることを望んだりはしない。タンポポが望むのは、あらゆる繁殖の機会を利用することである(無限の可能性にかける)

中国の偽物ブランド品
今や中国には25万人の億万長者がいて、その数は毎日増えている。これに伴い、本物の高級ブランド市場も成長し、現在は世界で3番目に大きな市場となっている。偽物は満足を与える以上に需要を喚起しているといえよう。

物質的豊かさがもたらしたもの(古代のアテネ):生きる目的を奪ったのではなく、生きる意義の欠乏を作り出した。この欠乏状態が、人々を科学と創造性の探求へと先導した。

海賊行為がフリーを助長する。中国はある意味で世界に新たな可能性を提供してくれた。

企業家にとって今が革新を起こすときで、それは新しい製品だけでなく、新しいビジネスモデルを考え出すことでもある。

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